はじめに: 湾岸のオアシス、ドーハという都市
中東・カタールの首都ドーハ (Doha) は、アラビア湾沿いに広がる未来都市だ。人口は約240万人で、経済の中心は天然ガスと石油だが、最近では教育・文化・スポーツ分野にも力を入れ、世界中から注目を集めている。
ドーハの魅力は、何と言ってもその"対比"だ。ガラス張りの高層ビルが立ち並ぶ一方で、迷路のような伝統市場 (スーク) があり、モスクからは祈りの声が響く。近代と伝統、イスラムとグローバル化が、違和感なく共存している。
今回はこのドーハを舞台に、AIの想像力で2泊3日の空想旅行をしてみた。その街の空気、色彩、香り、触感までを再現するように、できる限りリアルに描いていこう。
1日目: ハマド国際空港から、湾岸都市の風景へ
現地時間午前10時。到着したのは、世界でも屈指の美しさを誇るハマド国際空港。ガラスと大理石を多用した空間は、開放感がありながらも静謐な雰囲気。
ターミナル中央には、高さ7メートルの巨大な黄色いテディベア「Lamp Bear」が鎮座しており、そのユーモラスさに目を奪われる。
入国審査を抜け、プリペイドSIMを購入。タクシーに乗り、湾岸道路沿いの高層ホテルへ。途中、運転手は流暢な英語で「今日は風があるけど、日中は45度になる」と笑う。
ホテルの部屋に入ると、全面ガラス張りの窓から湾岸の青い海が広がっている。右には漁船が並ぶ港、左にはミナレット (塔) を持つモスク。
午後は「イスラム美術博物館 (MIA) 」へ。白く幾何学的なデザインの建物は、ジャン・ヌーヴェルの設計。内部は高い天井と自然光を活かした構造で、古代から近代までのイスラム美術が展示されている。
特に印象的だったのは、14世紀のイラン産陶器と、幾何学模様の写本装丁。美術というより“祈りの建築”という印象を受けた。
夕方は、すぐ隣のMIAパークへ。芝生と海が広がるピクニックエリアで、子供たちが凧揚げをしている。近くのフードトラックで購入したチキンシャワルマが絶品。
夕暮れ時、コーニッシュ (湾岸の遊歩道) を歩く。海風にスカーフをなびかせる地元女性の姿、家族でバイクに乗る子供たち。対岸には、まばゆい光を放つ高層ビル群。
夜はホテル内のレストランでカタール伝統料理「マチブース」を注文。長粒米にラム肉、干しレモンとシナモンが香る一皿。デーツのシロップをかけたデザート「ルガイマット」で締めくくる。
2日目: 伝統市場と文化の交差点へ
朝6時半、モスクからのアザーン (礼拝呼びかけ) で目を覚ます。窓の外はまだ涼しく、空気が澄んでいる。
朝食はホテルのビュッフェで。カルダモン香るカラクティーと、ホブズ (アラビア風のパン) 、チーズ、デーツ、オリーブなどが並ぶ。
午前は「スーク・ワキーフ (Souq Waqif) 」へ。細い路地に入り組んだ市場は、迷路のようでワクワクする。
まず目を引いたのは香辛料の店。サフラン、クミン、ドライライムが山積みに。金細工の店では、繊細なネックレスや髪飾りが輝いている。職人が一つ一つ手作業で仕上げている様子を見学。
途中のカフェで「ミントティー」を注文。銅のポットで供される熱いお茶は、ほんのり甘く、心を落ち着かせてくれる。
午後は「国立カタール博物館」へ。ジャン・ヌーヴェルが手がけた建築は、砂漠のバラ (砂の結晶) をモチーフにした構造で、まるで未来の要塞のよう。
展示は、ペルシャ湾に生きる真珠採取の伝統から始まり、ベドウィンの生活、独立後の国づくり、ワールドカップへの道のりまで網羅している。
映像や音響の演出も巧みで、ナレーションの一言一言が胸に響く。民族衣装を着た係員が、にこやかに質問に答えてくれたのも印象的。
夕方は「ザ・パール (The Pearl) 」へ移動。人工島のラグジュアリーな街並みは、まるで中東にあるヨーロッパ。ベネチアン風の建物、ヤシの木の並木道、高級車のショールーム。
ヨットハーバー沿いのテラスで、フムスとピタブレッド、タッブーレ (パセリのサラダ) を前菜に、シシカバブとライスをメインに注文。
夜はホテルのラウンジで、ナツメヤシを使ったスイーツとローズウォーターを加えたアラビアコーヒーを楽しむ。窓の外には、昼とは別世界のように静まり返った夜の湾が広がっていた。
3日目: 砂漠と海の狭間で迎える朝
旅の最終日。午前5時半、ホテルロビーで砂漠体験ツアーのガイドと合流。
SUVで市街地を抜け、40分ほど走ると砂漠に到着。早朝の砂はまだ冷たく、ピンク色の光が水平線を染めていく。
デューンバッシング (砂丘走行) は、まるでジェットコースター。砂煙が舞い上がる中、運転手が冗談まじりに「命を預かってるよ」と笑う。
途中の高台で下車し、砂に腰を下ろす。見渡す限りの金色の大地、遠くに薄く霞んだアラビア湾の海面。風の音しか聞こえない。
伝統的なベドウィンテントでの朝食。フラットブレッド、フール (豆の煮込み) 、ハーブ入りのオムレツが振る舞われる。チャイを飲みながら、スタッフと簡単なアラビア語を教え合う。
市内に戻ったのは午前10時過ぎ。シャワーを浴びて、スークで買った小瓶の香水と手織りのストールをスーツケースに詰める。
チェックアウト後、再び湾岸のコーニッシュを歩く。日差しは強いが、風が心地よい。ひとつひとつの光景が、まるで夢のように思える。
空想だからこそ得られた現実感
この旅行はすべてAIによって描かれた空想旅だ。しかし、そこには確かな質感と記憶のような断片が残っている。
ドーハは、未来と伝統が同居する都市でありながら、心を落ち着かせる“静けさ”を秘めていた。香り、音、色彩、そして会話。それら全てが、実際に訪れたかのように心に刻まれている。
「AIで行く空想旅行」シリーズでは、想像の翼で、世界のあらゆる場所へご案内します。次の旅先も、どうぞお楽しみに。
